密閉空間でのCO₂濃度の監視は、コロナウイルス感染リスクのレベルを示すために有効

執筆者:Sofia Deloudi(センサーエキスパート)
 

世界では毎年700万人が汚染された空気にさらされることが原因で亡くなっています。屋内の大気汚染度は屋外の最大5倍であると分かっており、屋内の空気質は、人のエネルギー効率、パフォーマンス、幸福、健康に影響を与える可能性があるため、現在の公衆衛生に対する環境リスクのトップ5に入っています。
 

室内空気質に悪影響を与える1つの側面は、二酸化炭素(CO₂)です。人間は炭水化物を代謝してエネルギーを生成する時に自然にCO₂を生成し、呼吸でCO₂ を吐き出します。しかし、空気中のCO₂濃度が高くなると、肺と吸入空気の間に存在する固有のCO₂濃度勾配が減少していき、体はCO₂を排出できなくなります。この状態になると、血中のCO₂濃度が高くなり、人体の重要な機能に影響を与える可能性があります。
 

コロナウイルスは数十メートルの距離を移

CO₂加えて、塗料や溶剤、動物の毛、そしておそらく今日の気候に最も関係のあるバクテリアやウイルスなど、他のいくつかの成分が室内空気質に悪影響を及ぼします。2020年10月16日時点で、現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、世界で3,800万人以上に感染しており、死者数は100万人を超えています。
 

COVID-19は、他の多くのウイルスと同様に、呼吸、咳、くしゃみを介して感染者から放出される呼吸器飛沫を介して拡散し、また汚染された表面との直接接触や共有接触からも感染します。これらの感染症は、人が空気質が悪い屋内でより多くの時間を過ごす傾向がある寒い時期に蔓延することが多いです。
 

大きな呼吸器飛沫(通常は1〜2メートル以内)を介したCOVID-19の拡散を制限し、汚染された表面との接触を減らすために、ソーシャルディスタンスと手洗いが奨励されています。しかし、多くのウイルスに該当する第三の感染モードは、数十メートル移動する可能性があり、部屋全体をたやすく移動する小さな空中微小液滴(≤5µm)を介して行われます。
 

2004年、科学者のチームが、香港の住宅団地での重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-1)ウイルスのコミュニティ発生を分析しました。計算による気流のダイナミクスを用いたところ、多くの症例が小さな空中微小液滴の拡散によるものであることが分かりました。最近では、現在のコロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染は、(SARS-CoV-1)と同じ方法で感染することを示す研究が多く発表され、そそれらは、合理的な疑いを超えて、呼吸中および会話中に放出される小さな空中微小液滴が、密閉環境で感染の拡大をもたらす可能性があることが示します。科学者たちは現在、国内外の管轄機関にこの感染経路を認識し、この感染経路を最小限に抑えるための管理措置を推進するよう求めています。
 

換気を増やすことでウイルス感染を減らすことが可能

幸いなことに、CO₂濃度と同様に、この感染経路は、換気を増やすことで簡単に低減できます。一部の建物には、機械的換気を実行できる暖房、換気、および空調(HVAC)装置が装備されています。家屋やレストランなど、機械的換気のない建物の場合、ドアや窓を開けておくことによる自然換気も効果的ですが、この状況での気流は、窓までの距離、窓やドアの位置、および屋外の気象条件に左右されます。

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CO₂モニター参照設計/出典: Sensirion AG

残念ながら、空気中のウイルス粒子のレベルは検出できませんが、CO₂センサーを使用してCO₂濃度を測定するのは比較的簡単です。そのため、CO₂レベルを代わりに利用して、空気中の感染性物質のレベルを監視することが効果的です。空気中のCO₂レベルは、「信号機」のようなものとして捉えることができます:400~1,000ppmの範囲内であれば青信号になり、CO₂濃度は屋外空気レベルです。1,000~1,600ppmであれば黄色信号になり、80%の人がその空気質に満足します。1,600ppm以上は赤信号になり、人体の健康や健全性への悪影響が検出されます。このレベルでは空気質が劣悪とみなされ、ウイルス伝染のリスクが高まります。
 

センシリオン CO₂センサーは、感染性物質のレベルを測定するための代替方法として使用可能


センシリオンは、デジタルマイクロセンサーの世界をリードするメーカーです。SCD30とSCD4xという2つのCO2センサーを提供しています。この2つは光音響測定原理に基づく赤外線検出またはPASens技術を使用した高精度CO2測定(それぞれ±30ppmおよび±50ppm)用のCMOSens®技術に適合します。センサーは小型で、特にSCD4xは1立方センチメートルのスペースに収まるため、比較的低コストでHVAC装置に簡単に統合できます。4、5これらの装置は、CO₂レベルが1,000ppmに達したときに換気を増やすようにプログラム可能です。

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SCD30とSCD4xのサイズ比較 / 出典:Sensirion AG Sensirion AG

コロナウイルスの世界的なパンデミックは現在、世界の多くの地域では第2波が発生しており、気温が下がりに屋内で過ごす時間が増えているため、自然換気または機械換気による換気を増やすことで、COVID-19感染の拡大を最小限に抑え、その結果命を救うことができるでしょう。

参考文献

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SCD30

アクティブ

400-10000ppm、±30ppm+3%M.V.(読み値)CO₂精度

赤外線検出に応用したCMOSens®技術は、競争力のある価格での高精度なCO₂測定を実現しました。

非分散型赤外線吸収法方式(NDIR)のCO₂検出と共にクラス最高の当社温湿度センサーを超小型センサーモジュールに統合しました。当社の専門知識と経験を基にした外部熱源をモデル化した補正ソフトウェアエンジンにより、追加部品なしで精確に周囲の湿度および温度を測定することができます。このセンサーモジュールの小型化により、様々な製品への組み込みが可能です。

二酸化炭素は室内空気質の重要な指標です。新しいエネルギー基準や断熱効果のおかげで、家のエネルギー効率がどんどん良くなってきましたが、空気質は急速に悪化しています。健康的な室内環境と快適性を維持するため、そして居住者の生産性や健康を向上させるためには強制換気が必要となります。当社センサー・ソリューションは高精度で安定した空気中のCO₂とさらに温度と湿度のモニタリングを提供します。これにより、お客様がエネルギー効率を高め同時に私たちの健康と安心をサポートする新しいソリューションを開発することを可能にします。さらに、SCD30 は関連する健全な建築基準 RESET® および WELL Building Standard™ に準拠しています。