執筆者:Philipp Seidel(マーケティング・コミュニケーションプロジェクト主任)
通常、「空気質」について考える場合、住まいの周囲の大気汚染について考えがちです。空気質指数などの測定値を基準として、都市の大気汚染物質が健康問題を引き起こしたり悪化させたりするレベルに達したときには知らせてくれます。夏の湿度によって喘息患者のリスクが高まる場合や、危険なスモッグが街に蓄積している場合のメッセージは単純で、健康を守るために、屋内で過ごします。
しかし、私たちが吸い込むほぼ汚染された空気の中には、室内で発見されるものもあります。塵埃からホルムアルデヒド、ラドンまで、家やオフィスの中の目に見えない成分や粒子状物質は、短期的および長期的な健康問題を引き起こすおそれがあります。米国人が日常の約90%の時間を屋内で過ごすと仮定すると、室内空気質の測定と管理は最優先事項とすべきです。
新型コロナウイルスの感染と低湿度や高レベルの汚染との関連を指摘する研究が増え、これらの可変要素の管理・監視が、これまで以上に重要になります。この記事では、室内空気汚染の原因、室内空気質の改善策、特にあらゆる家庭の室内空気質改善の未来の可能性について検討します。
室内空気汚染の原因と影響
室内空気の汚染は、さまざまな原因によって引き起こされます。暖房器具(燃料の燃焼)や室内での喫煙など比較的原因が明らかな場合もありますが、特定しにくいケースもあります。家具や住宅に使用される合板、接着剤、断熱材などの建材は、ホルムアルデヒド、ベンゼン、揮発性有機化合物(VOC)の発生源となる可能性があります。また、洗剤やシャンプーなどの洗浄剤にもホルムアルデヒドが含まれている場合があります。
汚染が発生した場合、密閉された空間は危険です。換気システムが不十分な住宅では、有害ガスや空気中の汚染物質が排出されず、長期間滞留することになります。特に、換気量が不足し、基礎の気密性能が低い場合は、有害な放射性ガスであるラドンが住宅内に蓄積される可能性があります(その量は居住地域によって大きく異なります)。
こうした有害物質は、人体の健康に深刻な影響を及ぼします。吸い込むこと(曝露)で、目、鼻、喉への刺激のほか、頭痛、めまい、疲労感などの症状がすぐに現れます。複数の有害物質の組み合わせは、相加的または相乗的な影響を及ぼしますが、一般的な有害物質の長期的な影響は、呼吸器系疾患、心臓疾患、がんなど、身体衰弱や死亡につながる疾病の原因になります。



